色メガネ売場

目の届くかぎり広く、手の届くかぎり深く

「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」を読んだ。

朝からボンヤリしていた頭が、未だに掴みどころなく揺れている、ような気がする。

身体は人生の資本であるというのに。所有財産、知らぬ間に目減りしているのかな。

 

「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」

家族が買ってきた若林正恭さんの本を読んだ。

 

若林さん、私は好きだ。オードリーとしてのネタも好きだし、人間性(こう括られるのは本意でないような気がする)も好感を持つ。

もっとも私は「リトルトゥース」ではないので(オードリーのオールナイトニッポンは内輪ネタの印象が強く、もっと早く聞き始めていれば輪に入れたのかもなとも思う)、若林さんの仕事に対する話しぶりを詳しく知ることはない。

きっと今週も毒を混ぜた言葉で語っているのだろうかと、憶測を飛ばす程度だ。たまにメディアで偶然目に入って、「あー若林ジャン」とあたかも知り合いであるかのように反応する、その程度だ。

 

テレビをつけると、ゴールデン帯のバラエティ番組で司会を務める若林さんの姿を見ることがある。

進行をこなし、ひな壇に座る人たちの挙動を拾い、ワチャワチャとしたバラエティの空気を作り出している。

どんな気持ちであの仕事をやっているのかな、とずっと思っていた。

 

この本を読んで、その疑問に答えが出せたわけではない。

それどころか、ますますわからなくなった。

非常にまとまりに欠ける感想が頭を支配して、ボカシに拍車をかけている。

 

でも、一度も行ったことのないキューバの景色が見えたような気がした。

外国特有、というか日本にない空気まで。

鮮やかに。

 

若林さんという唯一無二のフィルターを通して見るキューバの景色。

だからこそ伝わるものがあるのかな、と思った。

文を書いているのがバックグラウンドと、思考と、固有に抱えるいち人間だからこそ。決して画面の向こうの"芸人"さんではなく。

 

本の中で若林さんも書いていたが、見るべきものは人間そのもの、なのかもしれない。

 

読みやすく頭に入りやすい文章でした。

旅行記というのは景色もさることながら、著者の頭の中まで見えるので面白いですね。